企業成長イメージを共有するための補助線。
人とイメージを共有するのって、難しいことがあります。
特に、スタートアップの資金調達の時、成長イメージを聞き手と共有するのはかなり難しいことです。
それでも私たちは、そのイメージの共有をゴールに、話を進めなければなりません。
今日は、聞き手とどうやったら成長イメージを共有できるかを考えてみます。
ビジネスプランをつくり、見せながら話す。これが資金調達活動の基本形ですが、そもそも資金調達においてビジネスプランの役割は何でしょうか?
それは、
「おおっ、この未来構想はありじゃないか?」
と思ってもらうこと。この1点ですよね。
なぜなら、会社が成長した未来こそ、出資者が得たいことだからです。
でも、イメージを共有するということは、言葉では簡単に言えますが、実際は簡単ではないわけです。
たとえ相手がプロの投資家であっても、何でもかんでも知っているわけではないです。すべての投資家に、たくましいイメージ力を期待することはちょっと無理筋。
そこで、聞き手がイメージアップしやすいように「補助線」を引きます。
中学生時代の数学で「角度Xを求めよ」という問題でやった、あの補助線です。
では、どんな補助線を引いたらイメージアップが進むのでしょうか?
実績
言わずもがな。
既に実績のある会社は、実績の延長線という補助線を使うことができます。これは小学生でも理解できます。おたくの会社のプロダクトは顧客が本当に必要とするものなのか?という初歩的な疑いを、瞬時に拭うこともできます。
理由
では実績が乏しい場合はどうしましょうか?
大丈夫です。
実績がない場合でも、たくさんの顧客に使われている世界をイメージできれば勝機ありです。というのは、イメージが持てるということは、プロダクトが利用される理由が明らかだからです。なぜお客さんは当社のプロダクトを利用しそうのか?その「理由」は補助線になります。
課題の深さ
では、プロダクトの普及イメージが、まだぼんやりしている場合はどうでしょうか?
可能性はあります。
例えば特定の業界で、
「人が困っていること+それを解決するためのプロダクト構想」
これで戦います。ミソは困っていることの深さや大きさ。これを表現して理解されれば、補助線となり得ます。
次に「時間軸」という補助線です。
月額1,000円。
有料会員数10,000人
この2つの情報軸から、月の売上が1,000万円であることがわかります。
会社からすると、かなり誇れる数字だとしても、始めて目にした人は、このビジネスがすごいのか、それほどでもないのか、よくわからないですよね。
次はどうでしょう?
2月
有料会員数10人
3月
有料会員数3000人
4月
有料会員数10,000人
これだと3か月で月の売上が1,000万円に到達し、勢いよく伸びていることがわかります。スタートアップであれば注目に値するビジネスのはず。
時間という3つめの軸を伴うだけで、情報の意味がひろがりますよね。
次はどうでしょうか?
「これからの書籍コンテンツは、ウェブでの流通が必要になる。」
業界にいない人であっても「まあなんとなく、そうだよな」と感じる意見です。
以下が追加されるとどうでしょう?
「明治以来100年間、日本の書籍流通は取次と書店が支えてきた。でも、音楽業界がiPodでネットで流通するようになったように、書籍コンテンツもウェブでの流通が必要となる。」
歴史や時代の流れが加味されると、未来を予感しやすくなりますよね。
(上の話は、ピースオブケイク加藤さんの話の一部を拝借しています)
やはり時間という軸を加えるだけで、未来への補助線ができ、聞き手の納得感が一気に高まることがあります。
時間だけでなく、地域、他業種、など、軸をたった1本増やすことで、話が立体的になることがあるんじゃないかと思います。