本当の企業価値は決算書の外側にあらわれる

会社には黒字の会社と赤字の会社の2種類ある。

昔から、上場会社は黒字が前提で、その利益の大きさや利益率の高さで時価総額は大きくなったり小さくなったりする。

しかし、人間の価値には多様性があるように、企業の価値にも多様性がある。アマゾンドットコムよろしく、決算書の利益実績では評価できない会社がある。また、Uberやslackをはじめ、成長企業は赤字のままで上場でき、しかも高い時価総額の会社もある。

なので、決算書の利益を前提としたPERやROEという尺度では価値を測れない企業が増えてきている。

そこで、利益を直接使わないPBRという指標を見てみる。

PBRとは、Price Book value Ratioの略。

時価総額(Price) ÷ 純資産額(Book value) = PBR

つまり、時価総額は純資産の何倍になっているか?
を目安にしようというのがPBRという指標である。

PBRを具体的な企業でみてみると、
 トヨタ     1.04倍 
 NTT      1.09倍
 ファーストリテイリング 6.75倍 
 amazon    19.57倍
 alphabet    4.72倍
 dropbox    12.09倍
 slack       3.48倍
 (2019.10.2 現在)

純資産というのは、会社を解散した場合に株主に分配される総額である。

つまり、PBRが1倍未満というのは、時価総額が解散価値にも満たないということだ。

逆にPBRが高い企業は、帳簿には計上されていない資産が評価されている、と考えることができる。

帳簿に計上されていない資産とは?
では、この帳簿に計上されていない資産とは、具体的に何なのだろうか?

たとえば、

顧客からの圧倒的な支持

これは泣く子も黙る、とてつもない資産だ。

あと思いつくのは、

・明確な企業目的    
・大きな事業構想と潜在需要
・優れた経営チームや人材

ということも考えられる。

なぜなら、これらはとてつもない資産を創り出し続ける源だからだ。

ほかにも、優れた企業文化、ブランド、社会的意義・・・・と、個々の会社によって保有する優れた資産はいろいろとある。

会計上はこれを「のれん」という。だが自社で築く「のれん」を帳簿に計上することは許されていない。お手盛りになるからだ。

しかし、この「のれん」こそ、私たちが日々取り組むべきことかもしれない。

なぜなら「のれん」の形成が、顧客に抜きん出た価値を提供し、成長の原点となるからだ。

そして「のれん」は、大義、思考、ホスピタリティ、地道な継続、、、と思考、姿勢、行動の顕れで、必ずしもお金で買えるものではない。他社が模倣できないものだ。

もし、企業価値を高めたいとして、
社長が社員に「時価総額を上げよう!」とか「ROEを高くしよう!」とか声高に叫んでも、社員は「ぽかぁ〜ん」としそうだ。具体的にどんな行動を取ればいいかをイメージしにくいし、心に響きにくい。

むしろ自社の「のれん」はなにか?を考え、それに磨きをかけることが、企業価値を高めることに直結すると思う。

投資家は未来に向けて資財を投じるが、
のれんに磨きをかければ、自信を持って未来を語れるし、語った未来の実現に近づけるはず。