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Alphabetという持株会社構想の本当の目的は何だろう?

2015年にGoogleはAlphabetという持株会社体制に組織を変更しました。

組織変更の目的は「組織の透明性を高めるため」と言われていますが、真意はそれだけではないと思います。

ではどんな目的が考えられるのでしょうか?


まず組織図を見てみましょう。

思いつくことは、

1)買収した会社の起業家やスカウトしたCEOが、引き続き会社のCEOとしてリーダーシップを発揮しやすくする。
2)マネタイズを進める会社と、当面は研究と試行錯誤を続ける会社を切り分け、研究に不必要なプレッシャーをかけない。
3)より多くの事業分野を手がける。

こんな意図があるのではないかと推測しました。


1)個々の会社のCEOのリーダーシップ
会社を買収して、本体に合流させ事業部にするのではなく、会社としての箱を残すことで、企業としての独立性を保つ、ということがあると思います。事業部にしてしまうと、起業家もGoogleの社員扱いになってしまいます。

そうではなくて、起業家を中心にした革新的でスピーディーな企業組織にすることで、スタートアップの持ち味を出そう、ということでしょうか。

これだけ大きな会社になり、大企業からの転職者も多いでしょうから、どうしても大企業病になりやすい。全世界で6万人を超える社員がいて、しかもまだ増えていますからね。

現に、そんな文化がイヤでやめてゆく人たちが、新たに起業して成功したり、他の有力なスタートアップの幹部として活躍しています。

Alphabetという企業組織の成長を、スタートアップの集合体、起業家的取り組みに賭けようという姿勢なのかもしれません。


2)マネタイズを進める事業と長期的な取り組み事業の切り分け
事業の時間軸の切り分け、と言ってもいいと思います。

同じ組織の中ですと、売上や利益を出している部門の人たちは、お金を生み出さない研究開発組織や事業化の準備を進めている部署に対し、「あの部門は金食い虫だ」とか「誰のおかげて給料をもらっているんだ」的な話が満載になってしまいます。

そこで、事業部ではなく会社組織として各社治外法権とする。何かあれば直接Alphabetのラリーペイジやセルゲイブリンと相談する。マネタイズを進める会社はそれに注力し、長期的に試行錯誤を要する会社は、マネタイズのプレッシャーを過度に受けないようにするために、このような会社組織にしたのかもしれません。

上の組織図の緑色の企業やプロジェクトはマネタイズを進める。赤色の企業は長期的な時間軸で事業化を進めてゆく。こんな切り分けでしょうか。


3)より多くの分野を手がける
Xは次世代事業の研究機関的な組織で、自動運転、Project LoonやDrone、Google Glassもここからスタートしたようです。これからも新しいプロジェクトは生まれてゆくでしょう。

また、今後も現在のAlphabetにはない事業を行う企業の買収を進めると思います。

事業分野は広がりつつあります。Callico、Verily、Nest、Fiber、などは、日本では知らない方も多いと思いますので、どんな事業をやっているか非常に簡単ですが記載しておきます。

Calico
健康と長寿の研究。元Genentec CEOで現Appleの会長のArthur D. Levinson氏がCEO。

Verily
糖を測定できるコンタクトレンズなどの小さな医療ハード、複雑なヘルスケア情報を分析できるソフトウェア等の開発。

Nest
AIサーモスタット機器の開発・販売。創業者のファデル氏は元iPodの開発責任者。2014.1にGoogleが3,200億円で買収。Acquhire(人材獲得のための高額買収)とも言われたが、2016.6にファデル氏は同社およびGoogleを離れた。

Google Fiber
ブロードバンドインターネトの構築。放送サービス等の付加価値を付けて普及させている。実験的取り組みと言われるが、現在は予定より遅れている模様。Googleの中に入らず、別組織にっているのは、やはり長期的な取り組み姿勢のあらわれか。

いずれもマネタイズまでは少し時間がかかりそうです。もしかしたら実現に10年スパンでかかるかもしれない。そういう超長期的な事業もしっかり育ててゆきたいということかもしれません。

では、これからAlphabetはどのような構想と戦略で進むのでしょうか?

長くなったので次回にします。

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吉島彰宏(よしじま あきひろ)

起業成長のアシストが役割。資本政策が専門。ピースオブケイク、トレタ、クラウドクレジット、Dr.JOY、QON、ワンダープラネット、JARMEC、ウェルモに関与。
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