スタートアップの資金調達 終盤戦に待ち受ける試練。

資金調達活動が終盤戦に入ると、自社に興味を持っていて、かつ、条件面で折り合えそうな投資家がかぎられてきます。
でも、投資家も投資意向があるし、自社もその投資家に出資してもらいたいと思っています。相思相愛のよい関係です。
ようやく出口が見え、そして普通はこのまま終結してゆきます。

だが、しかし・・・・

事態が急変することがあります。

たとえば、土壇場でリードインベスターを謳う投資家から発声される次の一言で、一気に「うぐっ」となります。

「今回の優先株式は、やはり、過去の優先株式と同順位ではなくC種最優先にしてください。」

「えー!!」

説明すると長くなるので結論だけ言うと、最終局面で投資家から条件の変更を申し渡され、その内容は、現在の株主の権利を剥奪する、ということです。※

ありゃ、話がちがうじゃないっすか!

取り急ぎ今度は、これまでお世話になっている現在の株主様との調整が必要になってきます。

「土壇場でC種最優先という条件を提示されましたが、いかがでしょうか?」

当然、現在の株主であるA種、B種の皆様は、
「えー!冗談じゃない!」
となります。

C種最優先ですと、会社が買収された時、買収代金がA種とB種に分配がまわってこなくなるかもしれません。

ちなみに、A種株主もB種株主も、種類ごとの株主総会でこの増資を拒否することができるので、反対多数であればこの増資はできません。

終盤戦に起こる前ぶれのない条件交渉。
資金調達のめどがたち、あらたな投資家とはよい関係で進めてきたのに、後出しジャンケン気味の一言で、崖から突き落とされる気分になります。

最終局面においては、この優先順位だけでなく、株価、優先倍率、ドラッグアロング、、、と、たくさんのトラップが用意されています。

しかも実際は、ここでは書ききれない、もっともっといろいろと複雑な事情がからみあう。

出口の光が見えてきたのに、急にまた見えなくなる。

果たして、既存の株主と新規の投資家の折合いはつくのだろうか?

もしご破産になったら、これまでの身を削るような時間と苦労は帳消しになり、また、イチからやり直し。

でも一番気を揉むのは、資金繰りのおしりが近いこと。。。

もはやイチからやり直す時間が残っていない。。。
これはファイナンスに携わる者の最大のプレッシャーです。

厳しい状況の中で、何とか切り抜ける方策を見つけなければなりません。

こんな場面を何度か経験しましたが、この時間帯だけはなかなか解脱できません。

こういうのは毎回起こるわけではないですが、時として死角から矢が飛んでくるので、本当に最後までホント気を抜けないですね。

ですので、
・最後までバックアッププランを持っている。
・バックアッププランがない場合は、最後までこういうことが起こることを想定し、起こった時に冷静に対処できるようにする。
・既存の株主様とは日頃からコミュニケーションを持っておく。
ということがとっても大切であることを、身に沁みております。

※「優先株式」は、M&Aの時や会社が解散した時に、「普通株式」に優先してお金を受け取ることができる。
・さらにA種、B種・・と、優先株式同士でも、「B種はA種より優先する」という風に優先順位をつけることができるし、「B種はA種と同順位」とすることも設計できる。ケースバイケース。
・もし、過去に発行したA種とB種が同順位である場合、当然こちらからは「C種も同順位でお願いします」と言う。
・投資家もそれを前提に検討を進める。
・しかし、最終局面で「やはりC種を最優先にして頂きたい」とお申し出される。

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吉島彰宏(よしじま あきひろ)

起業成長のアシストが役割。資本政策が専門。ピースオブケイク、トレタ、クラウドクレジット、Dr.JOY、QON、ワンダープラネット、JARMEC、ウェルモに関与。

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