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Facebookの高額買収先。ちゃんと元はとれるのだろうか?

instagrum、Whatsapp、Oculus・・・。Facebookはかなり高額と思える買収をしています。

instagrum    1,000億円
Whatsapp    1.9兆円
Oculus      2,000億円

が有名です。

これらの買収企業について見てみましょう。

ここでも金額は全て、話を簡単にするために、1$=¥100の概数で記載します。


instagrum
2012年4月に買収。
買収金額1,000億円

2010年10月創業の13名の会社を、2012年4月1,000億円で買収しました。

facebookはPC版でスタートしましたが、instagrumはスマートフォンからスタート。instagrumは初期のユーザー数の伸び方が、facebookの立ち上がりをしのぐ勢いで増加しました。

facebookに買収される直前にセコイア・キャピタル(米国の超有名なVC)など数社が、時価総額500億円で50億円を投資しています。

それから1ヶ月も経たないうちにFacebookが1,000億円で買収。資金調達と同時並行で話をしていたのかもしれません。

恐らく、Googleなどなど、他社からの買収オファーもあったと思います。なので買収金額は釣り上がり気味で、当時としては思い切った値段と思います。

少々高くても買収しなければ他社にもっていかれるか、自社が打ち負かされる危険がある。こんな考えが値段にも反映しているのかもしれません。


買収方法は?
Facebookの株式と現金の両方を使って買収したようです。

つまり、instaguramの株主に対して、Facebook株式と現金で1,000億円相当の対価が払われたということになります。

Facebookの上場は、買収翌月の2012年5月でですから、上場直前で買収したのですね。日本だと上場直前に企業を買収することはできないですが、このあたりは日本と違いますね。

株式と現金の割合は未公開ですが、仮に株式で半分の500億円、現金で半分の500億円で支払ったと考えてみます。

Facebook上場時の時価総額が約10兆円で、上場前にはこの時価総額はある程度見えていたと思いますので、500億円/10兆円でおよそFacebook株式全体の0.5%の株式を放出、と仮計算。

また、Facebookは、買収の1年前に1,500億円の資金調達をしています。かつ、既に黒字化していたとすると、現金で500億円を支払うことは十分可能です。


現在はどうなっているのだろう?
Facebookが買収した時の2012年4月のユーザー数は恐らく4000万人くらいと推測します。それが、同社のリリースによると、

2014年12月に3億人

2015年9月に4億人

2016年6月に5億人

となっています。かなり順調です。

広告も始めて、既に売上高は2016年に約2,000億円、2017年は約3,000億円と予想しているようです。


社員数が正確にはわからないのですが、crunchbaseの情報をたよりに、仮に400名くらいと推計すると、年間のコストはざっくり1,000億円くらいと試算します。


ということは、年間で1,000億円、2,000億円といった利益が出る会社になってきているということです。


これなら企業価値は兆円単位とみてもまったく違和感ありません。1,000億円の買収でも十分ペイできている感じですね。


instagrumの創業者はどうしているのだろう?

instagrumはKevin Systrom氏とMike Krieger氏によってつくられた会社。両氏とも現在もinstagrumを率いています。ここが素晴らしいところです。

M&Aされると、創業者はロックアップが明けると辞めてゆくことが多いのですが、2名とも残っていてinstagrumの成長を牽引しています。

両氏とも、もう経済的には十分に満たされていると思いますので、Facebookがイヤならいつ辞めてもよいと思います。が、今もFacebookのグループの中で活躍しているとすれば、Facebook側のinstagrumおよび両氏への接し方が、かなりいい感じなのかもしれません。


買収の目的は何だろう?

真相は知りませんが、何かシナジーやシナリオを深く考えたというより、

「スマホアプリで驚異的なスピードで成長しているし、競合になりえるサービスだから、早く一緒になっておこう。そうしたらきっといいことがあるぞ。高くてもいいから買いが正解。」

という、直感的な判断かもしれません。

買収金額1,000億円については、投資会社が使う一般的な相場観では高すぎると試算してしまうでしょう。でも、Facebookの場合は自分たちと同じエリアの企業ですから、今後の成長可能性も他社よりもわかるでしょうし、自分たちの上場時の企業価値評価方法もわかっているわけですから、一般論とは違った計算ができたんじゃないかと思います。


次にWhatsappやOculusはどうでしょうか?


長くなったので次回にします。