ゴルフのキャディのような役割
「それで資金調達の時、あなたは具体的に何をしているの?」
たまに聞かれます。
資金調達活動、特に投資家さん回りをしている時の私の仕事は、「ゴルフのキャディさんのような仕事」と思うことがあります。
プロゴルフの世界には、「プロキャディ」という職業があります。
試合中にゴルフバッグを担ぐ以外にも、試合前日に選手とコースを周り、試合のポイントをおさえます。
試合中も、
「いまはグリーンの上は向かい風が強く吹いているから、8番アイアンではなく7番でしっかりいきますか?」
「グリーン奥からのパットは難しいから、1番手下げてピンの手前に落ちるようにしましょうか。」
とか話をします。
また、リスクテイクしてでも優勝を狙うのか、上位に留まる試合をするのか、によっても提言内容は変わります。
あと、選手が力んででボールが飛びすぎる日は、わざと残りの距離を短めに伝えて帳尻が合うようにする。選手の状態も考えながら進めるんですね。
見習うことがたくさんあります。
私の場合は、
「今日は初回なので、プロフィールと起業理由を丁寧に話してはどうでしょう?」
「前回は、相手はまだ未来構想が不理解と思いますので、今日は構想部分を厚めにいきましょうか?」
「話が足りない部分は、その場で私から社長に質問しますから、それに答える形で相手に話してください」
という感じです。
また、投資家さんの話でわかりにくいことは、ミーティングのあとで、
「あのご質問の意味はこういうことです」とか
「投資家さんはこういうことを懸念しているから、あのような質問をしているんだと思います」とか、
相手の話でわかりにくい部分を起業家に説明したりします。
あとは出たとこ勝負で臨機応変に、ですね。
で、私は数字のことや条件面のことは少し話しますが、それ以外はあまりしゃべりません。助け舟を出すことはありますが、基本的には起業家に話をしてもらいます。
なぜなら、投資家には起業家を見てもらい、起業家と話してもらうことで起業家と親近感を持ってもらいたいと考えています。自分の存在を前に出すことが目的ではありませんからね。
なので時に、相手からしたら「何のためにアナタはいるの?」ということがあるかもしれませんが、それが理想です。
プロゴルフの結果を決めるのは選手本人。
資金調達が決まるのは起業家の力によるものです。
私ができるのは、起業家の物語がちゃんと相手に伝わっているかどうかを見たり、相手の懸念点を察知して次回の打ち合わせの話しの内容を考えたりと、客観的な視点を補うのが私の役目と思っています。
投資家さん回りのときには、起業家には最高のパフォーマンスを出してもらいたいですからね。